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タチアナ・ニクーリンに会って

私は「小さい逃亡者」の映画を語れる生き証人に会いたかった。
当時の思い出エピソードをどうしても聞きたかった。
この映画に携わっている人なら誰でもよかった。
特にロシアでの撮影に参加している人に・・・その当時のロシア、
ロシア人との仕事、ふれあいなどを聞きたかった。
となると日本人ではとても限られていた。
主役の少年はこの撮影後ウルトラマンなどの特撮映画に参加し
わずか数年で引退していた。一般人なのでもちろんその後は分からなかった。
ロシアの俳優、スタッフを探すことにした。
大好きなユーリー・ニクーリンは他界している。監督もスタッフも。
若いスタッフの中では映画界を辞め今はどこで何をしているのか分からないという人も多い。

タチアナ・ニクーリンはユーリー・ニクーリンの奥様でこの映画にも一緒に出ている。
ユーリー亡き後サーカス団の団長でもある彼の息子を通じ、タチアナさんに会えるよう
お願いをした。タチアナさんは83歳。「体調もすぐれないからわざわざ日本から来てもらっても
会うことができないかもしれない。」とも言われたけれど、1%でも可能性があるならとモスクワへ向かった。

劇場の上階にある社長室に通された。
そこで迎えてくれたのは凛とした姿勢と笑顔が素敵な女優だった。
「体調の悪い83歳」を想像していたので彼女がタチアナ・ニクーリンであることにしばらく時間がかかった。
「ようこそ!」と手を差し伸べてくれ「さて、何から話したらいいかしら~」と映画の思い出から恋愛話まで
次々と話してくれた。主役の少年のことは本名の「チハル」と呼んでいた。
映画の仕事というよりは自分の息子より2歳年上のチハルがかわいくてたまらなかったようだ。
チハルが撮影中サリャンカの食べすぎで10Kg太ったこと、
チハルが台詞を間違え悔しくてカーテンの陰で涙を流したこと、
ニクーリン家でホームパーティーをしたときに息子とチハルは言葉も分からないのに
仲良く遊んでいたことなど・・・目を細め話してくれた。
表情、口調すべてがエンターティナーだった。
タチアナさんの取材を終えた後、隣室で聞いていたマネージャーは
「あなたが来る寸前まで
『何を話せばいいの、私は46年も前のことなど覚えていないわ・・・どうしよう・・・』
とタチアナはずっと言っていたのよ。私も恋愛話を初めて聞いたわ~。」と驚いていた。
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この世界で生きてきた人は自分の見せ方が違う。
一瞬にして幕が上がるのかもしれない。

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